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海外情報斜め読み(ホワイトハウスのテックディナー)
米国の著名投資家が主催するAll In Podcastの感想をまとめました。
テック企業を招いて開催されたホワイトハウスでの夕食会

先日、トランプ大統領がシリコンバレーのトップリーダたちを集めて夕食会を開催しました。
政策や経済、Googleの独禁法裁判など幅広く議論されたようです。
まず驚いたのは、出席者の顔ぶれです。
マークザッカーバーグ(Meta)、サムオルトマン(Open AI)、ティムクック(Apple)、サティアナデラ(Microsoft)、Bill Gates(Microsoft創業者)などなど…
雰囲気は和やかで、大統領自らがホワイトハウス内を案内して歴史的建造物を解説したり、記念品を手渡して参加者と写真撮影しました。
日本的な感覚からすると、ここまで露骨に経営者が政権に歩み寄る光景はちょっと異常な気がします。
とはいえ、下手に独自路線を走るとトランプ関税のような強硬策で割を食うことも目に見えているので致し方ないのだろうなとも思います。
政策議論

議論の中心は「アメリカ企業がいかにスムーズにビジネスを築けるか」でした。
参加者は、トランプ大統領が整えた親イノベーション、親インフラ、親輸出、親労働者の政策を歓迎しています。
私が普段アメリカの新聞やニュースを追いかけているわけではないからかもしれませんが、これらの政策にピンとくるものはありませんでした。
調べたところ、2025年7月に発表されたAI Action Planと呼ばれる施策について触れているように思いました。
この施策は、AIに関するフルスタックパッケージ輸出の促進、規制緩和、データセンターの構築促進に注力するという内容を謳っています。
この内容についてPodcastホストは参加者の多くが夕食会を通じて共和党寄りにシフトしたと指摘しています。
破天荒なやり方に思えると同時に、日本の社会課題(例えば社会保険料高すぎるとか)もこれぐらい強烈にトップダウンで物事を進めないとなかなか変化が難しいのではないかとも思います。
トランプ政権の法的課題

関税政策をめぐっては、連邦控訴裁判所が「権限を越えている」との判決を下しました。
動画内では、経済的には製造業者の多くが打撃を受けている一方で、関税収入は巨額にのぼり、国内投資を促進する効果もあると指摘されています。ホストの一人は「ドル安定化につながり、国内投資の環境が改善された」と高く評価しています。
この点について事実確認をしてみると2025年8月付の記事がいくつか見つかったので紹介しておきます。
Federal appeals court rules that most of Trump's tariffs are illegal
A US appeals court ruled on Friday that most of Donald Trump’s new tariffs are illegal, upholding a ruling from the federal court of international trade that the president’s declaration of an economic emergency to justify sweeping tariffs violates a 1977 law and the US constitution, which reserves taxation for the Congress.
(参考)機械翻訳
連邦控訴裁判所はトランプ大統領の関税の大半は違法だと判決を下した
米控訴裁判所は金曜日、ドナルド・トランプ大統領の新たな関税の大半は違法との判決を下し、広範囲にわたる関税を正当化するために大統領が経済非常事態を宣言したことは、1977年の法律と、議会に課税権を留保している米国憲法に違反するという連邦国際貿易裁判所の判決を支持した。
WASHINGTON (AP) — A federal appeals court ruled Friday that President Donald Trump had no legal right to impose sweeping tariffs on almost every country on earth but left in place for now his effort to build a protectionist wall around the American economy.
(参考)機械翻訳
ワシントン(AP通信)―連邦控訴裁判所は金曜日、ドナルド・トランプ大統領には地球上のほぼすべての国に広範囲な関税を課す法的権利はないが、アメリカ経済の周囲に保護主義の壁を築こうとする大統領の取り組みは当面維持するとの判決を下した。
どうにも真逆な取り上げ方をしているように見受けられますね。
AP通信の記事を読むと、トランプ政権は最高裁に上訴する姿勢を示しており、関税は直ちに撤廃されないそうです。
Googleの独禁法訴訟
Googleは2025年4月に独禁法違反で有罪となりましたが、ChromeやAndroidの分割は回避されました。裁判官は「競争環境が存在している」とし、OpenAIやChatGPTといった新興勢力を引き合いに出しました。
ホストのChamath氏は「自由市場が機能している証拠」と評価し、ホストのSachs氏も「分割論は間違いだった」と立場を修正。両者とも、GoogleがAIの台頭で存在的な脅威に直面していることを認めています。 (無くなるという意味ではなく、方針の転換が求められるという意味)
判決では、AppleやFirefoxとの排他的契約を禁じるなど戦術的な制裁も課されています。
判決が下された2025年9月2日にGoogleの株価が上がっている点が印象的です。市場としては比較的軽い処遇で済んだと捉える動きがあったと考えます。
最後に、AP通信の記事に担当判事のコメントが抜粋されていたので引用してみます。
もはや過去に例のない裁判が増えてきており、裁判所もこれまでのやり方で判決を下すことに限界があると感じさせるものですね。
“Unlike the typical case where the court’s job is to resolve a dispute based on historic facts, here the court is asked to gaze into a crystal ball and look to the future. Not exactly a judge’s forte,” Mehta wrote.
「裁判所の任務が歴史的事実に基づいて紛争を解決する典型的なケースとは異なり、本件では裁判所は水晶玉を覗き込み未来を予測するよう求められている。これはまさに裁判官の得意分野ではない」とメータ氏は記した。
リーガルテックという領域がありますが、将来は裁判所の判決もAIやデータのサポートを得て下されていくのですかね。自分が裁かれる側で、不服な判決だったらめっちゃ嫌です。